森の小人のブログ

体重を落としたい。長年の夢をやっとかなえました。次は健康と人生の楽しみの両方をめざして暮らしていきます。

【ブーニン再び】

先ほどまでNHK-BSで,天才ピアニストブーニンの特集番組を見ていました。もう深夜ですが,久しぶりにブーニンの姿を見て,なかなか眠れそうにありません。

私たちアラ還の世代ですと,ショパン国際ピアノコンクールで圧倒的な優勝をした弱冠19歳のブーニンは天才ピアニストとしてセンセーショナルな話題になったのが印象的です。その後日本では「ブーニンフィーバー」「ブーニン現象」としてクラシック音楽を超えた話題になりました。コンサートはすぐ完売,どこに行っても花束を持った若い女性の追っかけも登場し,当時はものすごいブームでした。

 

私も地元で聞いたことがあります。そのときはベートーベンの「熱情」を聞いた記憶があるのですが,すらりとした長身,ロシア貴族のような風貌と身のこなし,これは騒がれてもしかたがないなんて印象があります。ただ,演奏は私はあまり好みではないなと感じました。強靱なタッチでものすごい勢いのあるベートーベンで,なんかずっと圧倒されっぱなしと言うか。同じショパン国際ピアノコンクールの優勝者であるポーランド出身のツィメルマンの演奏は,本当に美しく,音に光と影がゆらめくようで,珠玉のショパン演奏でした。これは私の好みにドはまりでしたが,ブーニンはちょっと違うかなト当時は思っていました。

 

西ドイツへの亡命の背景,闘病,不自由な左手と切断を免れたけどやはり不自由な左足。今日の特集ではそれらのことにとても丁寧に寄り添って,9年の空白と復活にかけるブーニンと妻の姿を伝えていました。

 

華やかな存在という印象だったブーニンがそんな壮絶な過酷な人生を歩んでいたとは!

普通なら全てを投げ出したいぐらいのことなのに。苦しいことをとても穏やかな表情で語るブーニンと温かいまなざしで見守る妻の姿に心を打たれました。

 

番組の中では何度もシューマンの演奏が流れていました。「色とりどりの小品」というブーニンにとっては思い出のある作品集です。とても慈しむようなやさしい音色で,聞いていてやさしい慈雨に身を任せているような気持ちになりました。若いころのバリバリと難しいフレーズも鮮やかに弾いていたブーニンの印象と全く違います。私は,今のブーニンの音色が好きになりました。

 

今回ブーニンが使用していたピアノはファツィオリです。前回のショパン国際ピアノコンクールでも優勝者はファツィオリを選んでいました。最近ファツィオリのピアノをよく耳にするようになりました。スタインウェイとは違ったファツィオリのピアノの音色,早く生で聞いてみたいです。

ブーニン◎衝撃のショパン・コンクール・ライヴ(II)