朝,運転中にNHK-FMを付けるとブラームスの交響曲第1番が聞こえてきました。それが何とピアノ独奏版です。だれの編曲でだれの演奏家わからないまま目的地に着いてしまいました。私が実際に聞けたのは2楽章のおわりから4楽章の途中までです。この交響曲はブラームスの代表作でもあり,いままでいろいろなオーケストラノ演奏を聴いています。特に印象的だったのはティーレマン指揮のミュンヘン交響楽団です。もう息が止まりそうなくらいの鳥肌ものの演奏でした。
ブラームスの交響曲のピアノ編曲版を聞くのは初めてでした。聞いているうちになんか違和感を感じました。3楽章の有名なホルンのソロ。この部分を聞くと牧歌的でヨーロッパのアルプスのハイジのような風景を思いうかべます。ところがピアノ版を聞くと旋律をなぞるだけで頭に何も浮かばない。4楽章の金管楽器のファンファーレを思わせるような旋律。オーケストラだと大勢の群衆がひざまずいて,おごそかな神の声を聞くみたいなイメージが頭に浮かんできますが,やはりピアノ版だと光景が浮かんできません。楽器の音色と曲の光景やイメージが強く作用し合っているのだなと思います。
ピアノ曲をオーケストラに編曲して,さらに魅力を増している楽曲もたくさんあります。例えばムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」はラヴェルがオーケストラ用に編曲してさらに多彩に輝いています。ラヴェルは自身のピアノ曲をオーケストラ用に編曲して,それぞれの魅力を余すところなく発揮しています。「ラ・ヴァルス」,「クープランの墓」,「マ・メール・ロワ」などがいい例です。
逆はどうでしょう。オーケストラをピアノ用に編曲した例では,ベートーベンの交響曲をリストがピアノに編曲したのが有名ですが,正直曲の持つ色彩や光景より,「なるほど,こうアレンジしたのか」「たくさんの音をまとめるとこうなるのか」「ピアノの技巧はさすがに超絶技巧的だな」という冷めた感想を抱いてしまうのです。これは,個人の好みですが,私の中ではピアノ曲をオーケストラに編曲したものは,別の形になった面白さがあり,逆にオーケストラ曲をピアノ曲にアレンジすると,本来の魅力が陰っているような。本当は豊かな色彩を持つ絵画をモノクロ写真で見せられたような感じがします。あくまで個人の感想です。
- 価格: 1650 円
- 楽天で詳細を見る